一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「私はなにも……」
「実花子と結婚したいと思ったからじゃないか。そうじゃなきゃ、この指輪は存在していなかった」
拓海は実花子を抱きしめながら髪をそっと撫でた。
ふたりの間に起きたすべてのことが今に繋がっている。そう思えてならない。
「この指輪は、実花子同様に俺の宝物だ」
「それはくれないんですか?」
「おいおい、そんなに欲張ってどうするんだよ」
実花子を引き離した拓海がいたずらっぽく笑う。
「欲張ってるんじゃないんです。私はそっちでよかったのにって。わざわざ新しいものを買わなくても」
拓海の命を守ってくれた指輪なら、実花子も大事にする。
「傷がついたものを実花子にあげられない」
「その傷は勲章です」
「いいや、そういうわけにはいかない。これは俺の宝物にするんだから」
おもちゃを取られまいとする子どもみたいだ。拓海はそれをうしろ手に隠した。