一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
そういえばあの日……。ふと思い出したことがあった。
拓海の事件が起こる直前のこと。あの日、コンビニで通りがかりの男ふたりと口論になったときに拓海に助けられた。
実花子を追ってきたと拓海は言っていたが、この指輪を渡そうとして追いかけてきたのだろう。そのあと祐介の怪我の連絡が入り、病院へ駆けつけてバタバタしていたから、拓海はそのまま持ち帰ったのだ。
それが幸いした。
もしもあのときふたりの男と口論になっていなかったら。
祐介が怪我をしていなかったら。
拓海は実花子に、この指輪をすんなり渡せていたはず。そして、自宅へ帰ったときにはなんの防護もない拓海の胸はひと突きされ……。
思いがけないめぐり合わせに胸が震える。
「……本当によかった」
目の前に実花子と同じように座り込んだ拓海に抱きつく。
「実花子が助けてくれたんだよ」
拓海の優しい声に目の奥が熱くなる。