一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

「実花子ちゃん? どうかしたの?」


唖然としている実花子に千沙が小声で問いかける。
それに答えようと口を開こうとすると拓海がニコッと笑いかけ、実花子は反射的に口を閉じた。それと同時に寒いものが背中を駆け抜ける。


「トレンダーズクリエイトの社長を勤めております、椎名拓海と申します。これからは共に手を携えて、このIT業界の荒波を乗り越えていきましょう」


いくつもの会社を吸収合併、傘下に収めていると白鳥が言っていたのを思い出した。それがまさかここにまで及ぶとは……。

思いもしない再会が実花子の不安を煽る。


「それとちょうどいい機会なので、皆さんに紹介したい人がいます」


椎名の言葉が実花子に嫌な予感を抱かせる。そして次の瞬間、その予感は確信へ変わった。


「じつは今、この場に私のフィアンセがいます」


フロア内がざわめきはじめ、お互いに顔を見合わせて「誰?」と首をかしげる。
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