一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「実花子さん、こちらへ」
一瞬にして、みんなの口が封じ込められる。いくつもの視線の矢が実花子へ一斉に飛んできた。
どうしてこんな場でそんなことを!? しかも、フィアンセだなんて!
とんでもない大嘘だ。
「実花子ちゃん、本当なの?」
落っこちてしまうのではないかというほど目を丸くした千沙が、実花子のシャツを引っ張る。しかしそうされても、実花子は首を力なく横に振るしかできない。大勢の目が向けられているのだから無理もないだろう。
「実花子さん、どうかした? こちらへ」
拓海は、実花子の狼狽ぶりをまったく気にする様子もない。それどころか立っている場所からツカツカと歩み寄り、実花子の手を掴んだ。ポカンとする千沙の脇を通り抜け、先ほど立っていた場所へ実花子を引き連れる。
いつもの勢いはどこへやら。実花子は抵抗さえままならないまま、拓海の隣へ立たされた。そのくらい驚いていたのだ。