一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
家にあがるつもりだと知り大急ぎで引き留めるが、拓海はそれもスルーする。
自分も靴を脱がなければと、実花子は足をブンブン振った。それにより飛び散ったパンプスを祐介がきちんとそろえる。つくづく良くできた弟だと思わずにはいられない。
そうして拓海はどんどん足を進め、リビングのソファでようやく実花子を下ろした。大事なもののように優しい扱いするところが悔しい。おかげで胸がキュンなんて乙女チックな音を立てた。
「ご面倒をお掛けしました」
「どういたしまして」
ソファに座る実花子の前に跪いた拓海が浮かべるのは、お酒を浴びるように飲んだあととは思えないほど爽やかな笑みだった。
この笑顔でいったい何人の女性を虜にしてきただろう。男性に免疫のない実花子だけがドキドキするわけではないはず。
図らずも見つめ合うようになっていると、祐介が咳払いで存在をアピールした。
決してくっついていたわけではないが、拓海から離れるようにパッと背中をのけ反らせる。
拓海は実花子とは違い、慌てる様子もまったくなくスマートに立ち上がった。
「改めまして、椎名拓海と申します」