皇女殿下の幸せフェードアウト計画
ちょうど着替えの最中だったもんだから、私の周りにいた侍女たちがそれを耳にして顔を青くして震えたのを私は気が付かないふりをした。

「イ、イリス様」

「え?」

「お支度が整いましたがお気に召しませんでしたでしょうか……?」

「ああ……いえ、そういうわけではないわ。もういいから下がって頂戴」

「か、かしこまりました!!」

ごめん、別にあなたたちの仕事ぶりに不満があるとかじゃないんだよ、ただ思い出してため息が出ただけなんだ! ほんとごめんね!!

記憶のなかった頃の失態はまだある。

今の皇帝陛下、つまり私のお父様は実力主義者のためこの国は人種を問わず受け入れて栄えている。だけど皇后であるお母様は隣国の王族、生粋のオヒメサマなもんだから実力よりも出自を気にするところがある。

私もお母様に好かれたくてお母様が何かを言う前に率先して周囲を貶していたっていうね。まさに黒歴史だ……。そりゃ嫌われるわ!
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