皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「そういえば、最近親しくなった友人がいるんだが」

「あら、どのような方かしら?」

「ああ。最近この国にやってきて、今は将軍の下についているフォルセティという男なのだけれどね。大層な武人で今や陛下のお気に入りでもあるんだが」

「まあ、それはすごいわね!」

陛下は優れた武人を特に好まれる。それはご自分が優れた武人であるからなのだろうと私は思う。

別に武人に限らず、あの方は国民に対し平等に愛を注がれるが同時になんであろうと優れた資質を持つものをこよなく愛されるところがある。そのおかげで身分を問わず実力で地位を得ることも可能となったから、この国は発展したのだろう。

だからこそ、イリス様にご自身の資質が一つもないと見切りをつけた陛下は……皇帝として必要だったとはいえ、個人としても失望が大きかったのではなかろうか。

そうだとしたら、それはやっぱり彼女にどれだけの傷を与えたのだろう。

あの茶会での出来事はルイーズには聞かせられない。

陛下の様子を話したら、妻はまた倒れてしまうんじゃなかろうか。

(私ですら、あれは酷いと……いや、あれが今までの私たち周囲の大人が彼女に向けていた姿なのだろうな。だとしたら、償いきれないものがある)

陛下を前にして、顔色を無くしたイリスを思い出す。

そんな彼女を守るのが、昔から彼女を知る人物ではなく突如として現れたリリス様とフォルセティというのはなんとも皮肉なものだ。
< 201 / 370 >

この作品をシェア

pagetop