皇女殿下の幸せフェードアウト計画
私に似ている歌姫。

事情があって、追われていた母親。

なんだか妙に、引っ掛かった。

商人を送りがてら村に行き、別れ……私は、皇帝陛下を見に行こうとふと思った。

今まで行事やそういうものに興味がなかったし、老齢の二人を置いて観光なんてできないと思っていたからなにもしてこなかった。

でも、もし。もしも、だ。

(もし、その人が……皇帝が私の父親だったなら?)

それなら、おじいさんたちの話と商人の話が結びつく。

私があそこで生まれて育ったことの理由にもなる。

(でも、もし皇帝が父親なら)

どうして探してくれなかったんだろう。

それだけの権力者が、捜索隊を派遣できないはずがない。

事故があって、捜索はされたはずだ。山奥とはいえ、あんな近くの山だというのに。

(それは、つまり)

見捨てられたのだろうか。

腹の子ごと、愛した女性を? 皇后が気に入らないとしていたから、それで?

だとしたら、私という存在はなんだというのだろう。

私は、私が生まれた理由がほしかった。生きる理由がほしい。

要らない子だったなんて言われたくない。おじいさんとおばあさんが愛してくれた日々を否定されたくなんてない。
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