皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「……イリス、お前は……」

「大丈夫です陛下。分別はこれでも弁えておりますので、無用な詮索を招くような真似はしないとお約束します」

「そうではない」

「え?」

「そうではなくてだな、その……」

陛下は何かを言い淀んで、それから私の前の椅子にどかりとやや乱暴に座る。

それから深呼吸をしてから私の方を見て、もう一度深く息を吐き出した。

「なぜお前は余を父と呼ばないのだ」

「……え?」

「そなたの父親は、余であろう」

「はい。……ですが、先程も申し上げました通り私も分別を弁えられるようになりました」

「なに?」

「当日はリリスお姉様が主役で良いのです。私は十分に、今までも良くしていただきました。お姉様との時間を、お過ごしくださればそれで」

「そうではない!」

意味が分からない。

私のことを嫌っていたはずの陛下が、なぜ急にそのことに拘るのだろう。

思わず目を瞬かせれば、声を荒げてしまったことを陛下は恥じているようだった。それは焦りとか、不満が見えて私は納得する。
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