皇女殿下の幸せフェードアウト計画
ドレスだって準備はできている。まあ、細かい所の調整で毎日呼ばれるんだけど。

お姉様は白地に金のレースを使ったドレスで太陽を、私は白地に青のレースを使ったドレスで月を表現しているらしい。

琥珀と、他の宝石でできた花冠。

こんなに素敵なドレスと宝石をつけて、晴れの舞台に立てるのに怖い。

あの日、私はフェードアウトするんだって決めた時の、あの日の舞踏会の時と状況は似ているのに今回は違う。

あの時とは違って味方がいる、それがわかっていても怖い。

未来がまるで見えない中で、私だけは『物語』を知っているから上手くやれると信じていた。でも今はどう?

(物事が同じように進んでも、まるで違う……私がちゃんと『イリス』じゃないからかもしれないと思っていたけど……)

クローディア様のあの予言で、そんな私の考えは甘いんじゃないかと思った。

神っていう絶対的な存在、干渉することはほぼなく、この世界の人たちはこの世界に生きる人間の力で生きている……そういう設定だった。

でも、それはあくまで私の頭の中で繰り広げられている冒険譚で、最後は正義が勝つみたいなもので、まあ途中で妹のちょっと昼ドラっぽいドロドロが加えられたとしても世界観そのものは同じで。

(でも、神は存在する)

石板を通じて、クローディア様を通じて、私は確かにその存在に触れた。

確かにいる。私たちを、見ているのだと。

そして神は……私の考え違いでなければ、私にも役割を与えたのだ。

リリスが、フォルセティが、元から持つ役割のように。

演じきれなかった『ワガママ皇女』には新しい役目が割り当てられた。

そう感じてしまった。
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