皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「イリス様、お時間です」

「……わかったわ」

「よろしかったんですか、リリス様がお迎えでなくて」

「お姉様は陛下のエスコートで入場なのよ?」

迎えてしまった今日という日。時間は止められない。

あの泣き言からリリスお姉様は私に……なんていうか、前から親しみを込めて妹として愛してくれるようなのは感じていたけれど、過保護も加わった気がする。

私と過ごそうとしてくれるのは嬉しいし、今後の話が出ても全部私が一緒に行動できるように考えているし。

嬉しいけれど……あんなことを言ったから、余計に気にかけてくれてるんだろうなあと思うと申し訳なくなってしまう。

だって私が家族愛に飢えているのは勿論今世もそれなりだっていうのがあるけど、前世が特に家族に恵まれなかったからだ。愛し愛されて、時にはぶつかり合い過ちを正し叱って、誕生日にはお祝いをして、そんなごくありふれた家族がほしかった。

イリスも……一人ぼっちを嘆いていた。お祝いしてくれる人も、彼女を大事にしてくれる人もいたけど、皇女が大事なので合ってイリス本人じゃないって思ったから。

(……今の私として、お姉様の気持ちは嬉しい)

だけど、このままではいけない気がする。

甘えてしまえばすごく心地良いのだろうなとは思う。

憧れの美女の優しさに包まれて、恐ろしいものから目を背ければ良いのだから。

でも、それじゃあ何も変わらない。

(互いに愛する人ができても、私たちは姉妹)

その言葉が、何より嬉しい。

怖いけれど、私に何があろうとお姉様は私の味方でいてくれる。
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