皇女殿下の幸せフェードアウト計画
「……だ、誰っ!?」

「し、失礼いたしました!!」

ぼんやりと近場にあったアマリリスを見回したら人の姿があって思わず私は大声を上げそうになった。まあ小声で済んだんだけど。

びっくりして思わず手が上に伸びた。なんでだ。

誰も見ていなくてむしろ良かった。私のちっぽけなプライドが粉々になるところだった……!

「も、も、申し訳、ございません……!!」

私を驚かした人影は、見覚えのない侍女で随分と怯えているようだ。

そりゃまあ我儘皇女が近くにいただなんて、見つかって叱責されたり折檻されるんじゃないかって思うでしょうね、しょうがない。

(大声出さなくて済んで良かった)

もしこれが賊だったら大声を出して当然だけど、侍女がいたくらいで大声をあげたと後で笑いものになるのはごめんだわ。

(それにしてもこの人……なにしてたのかしら)

分厚い眼鏡にぼさぼさの頭、こんな庭園で何をしているのだろう。髪の毛に葉っぱまでつけて! 庭園の花の中に四つん這いでいるとか、怪しい人として衛兵に連れていかれて説教じゃすまないわよ……まったく。
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