皇女殿下の幸せフェードアウト計画
ゆっくりとした足取りで、まっすぐ前を見る。

(ああ、……フォルセティ、私が思い描いた人が、そこにいるだなんて!)

そんなことを思っている場合じゃないのに、胸がどきどきと高まった。

私が役割を持つ名前ありキャラじゃなかったら、遠目から彼の姿を見てきゃあきゃあはしゃいでいたに違いない。

だって、だって、目の前に推しがいるんだよ!?

何を言っているのかわからないかもしれない。推しとはちょっと違うかもしれない。いやあれは推しだ、推しで違わないのだ。

なぜならあそこにいるのは、前世の私の、理想を、これでもかってくらい詰め込んだ相手なのだから……!!

(ひぃ、かっこいい)

黒髪の長身で、ちょっと不愛想だけど男らしく整った顔立ちに、ムキムキとまではいかないけど細マッチョとは違うがっしりした体つき。腕っぷしも強くって、頭だっていい。日に焼けた肌に、鮮やかな露草色の瞳が映える!

それからぶっきらぼうだけど決して人を傷つけるような言葉は口にしないし、暴力だってしない。

彼と接した女性たちがメロメロになっちゃうようなかっこいい人なのに、小さいものとか可愛いものを見るとほっこりしちゃうギャップを持っているのがまたいいのよね。庇護欲がそそられる相手ってのが、彼の萌えポイントなのだ。
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