皇女殿下の幸せフェードアウト計画
フォルセティの前を素通りする。

そして、彼よりも奥にいた将軍に微笑みかける。

「お久しぶりね将軍。どう? 私と踊ってくださる?」

「これはこれはイリス様。このような老骨には勿体ないお誘いでございますな!」

「あらそうかしら。私の記憶が正しければ、貴方も身分ある独身男性だわ」

「……相変わらずイリス様には困ったものですなあ」

苦笑する老将軍には申し訳ないけれど、この茶番で下手に若い男性に声をかけてそのままとんとん拍子になられるのは非常に困る。主に私が困るのだ。

老将軍は独身には違いないけれど皇帝陛下よりも年上なので、まず私の手を取ることもない。感覚的には孫みたいなもんだと思うし。

(噂じゃ流行り病で亡くした婚約者に操立てしているとかいないとか)

そんな人をこんな茶番に巻き込むのは大変申し訳ないんだけど。

本来の物語だと私は幼馴染の既婚男性にダンスを申し込んでこっぴどく振られ、次に最近頭角を現した軍人に声をかけ断られ、半泣きで新入りのフォルセティに声をかけたらダンスを踊ってもらえて有頂天になるって……チョロいな!?

(自分で設定考えておいてなんだけどイリスちょっとチョロすぎないかな?)

いやまあイリスは寂しがり屋だったから、認められて嬉しいって思うタイプで……でもそれにしたってもうちょいなんかあっただろうに、自分……。
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