秘密の懐妊~極上御曹司の赤ちゃんを授かりました~

自分に向けられた凶暴な感情に、手軽に小刻みに震える。まだ本題にすら入っていないというのに、すでに心が負けそうになっている。しかし、冷たくなっていた手をギュッと握りしめられた瞬間、スッと無駄な力が私から抜けていく。

私はひとりじゃない。隣には翔悟さんがいて、一番の味方で、しっかり支えてくれている。目覚めた様に心が強くなる。これからも彼と共に生きていくには、乗り越えないといけない。手を握り返すと、彼がわずかに息を吸い込んだ。


「お察しの通りです。俺は彼女と交際しています。いずれ結婚したいと思っているほど真剣に。だから他の女性との結婚なんて考えられません」

「翔悟。冗談はやめなさい。あなたはヒルマ物産の跡取りなのです。この会社を、全従業員を背負っていく責任ある身。あなたの代で会社を衰退させる気ですか? 割り切れないと言うのなら、ここまでです。せっかくのいいお話を逃すわけには行きませんからね」

「どうして彼女と結婚することが衰退につながるのですか。俺をなめてもらっては困る」


すっと、翔悟さんの眼差しの温度が低下する。相手を威圧するほどの迫力を伴った翔悟さんの反発に、会長はわずかに顔色を変えた。

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