【完】溺愛したいのは、キミだけ。
「って、冗談だよ」


だけど神城くんはそう言ってすぐに私から額を離したので、一気に体の力が抜けた。


な、なんだ。ビックリした。


本気で言ってるのかと思って、焦ったよ。


ダメだな。こんなふうに男の子にからかわれるのとか慣れてないから、ドキドキしちゃって……。


「し、心臓に悪いですっ!」


真っ赤な顔でそう告げたら、神城くんはそこでプッと噴き出すように笑った。


「ははっ、変な奴」


「えぇっ?」


変な奴って言われちゃった。


でも、神城くん、笑ってる。


クールな人かと思ったけど、こんなふうに笑ったりもするんだ。


笑った顔はちょっと可愛いかも……。


って、私ったらなにときめいちゃってるんだろう。


声がカケルくんに似てるっていうだけなのに。


それにしてもまさか、特進科にこんな人がいたなんて、全然知らなかったよ。


声のそっくりさんなんて本当にいるんだ。ビックリだなぁ。


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