【完】溺愛したいのは、キミだけ。
突然、沙穂ちゃんに思わぬことを言われてドキッとする。


「だって、あの神城くんとお近づきになれるチャンスじゃない? しかも声がカケルくんにそっくりなら、好きになれるかもしれないよ~」


「えぇっ、そんなまさかっ。ただ声が似てるっていうだけだから。それに、もう話すことないかもしれないし」


そうだよ。そもそもクラスどころか科も違うし、普段かかわりのない相手だし。


「せっかくだから連絡先とか聞いちゃえばよかったのに~。琴梨がリアル男子に興味を持つなんて珍しいことなんだから、このチャンスを逃したらもったいないよっ」


沙穂ちゃんはそんなふうに言うけれど、さすがに恋のチャンスっていうのは大げさな気がする。


たしかに神城くんはイケボなうえにイケメンで頭もいいし、すごくハイスペックな人なんだろうけど、中身はまだどんな人かよくわからないし。


声が大好きな声優に似てるっていうだけで、好きになるなんてことはできないよね。


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