【完】溺愛したいのは、キミだけ。
「ねぇ、ごめん! 涼川さんにちょっとお願いがあるんだけど……」


放課後、自分の席で帰りの支度をしていたところ、同じクラスの桜木(さくらぎ)さんに声をかけられた。


彼女はいつもクラスの中心にいる華やかな女の子で、見た目も派手だし、気も強いタイプ。


普段そんなに絡みもないし一体何だろうと思ったら、桜木さんは少し申し訳なさそうな顔をすると、突然両手を合わせてきた。


「今日の掃除当番、代わってくれないかなぁ? 私、このあと彼氏とデートの約束してて、急いでて」


なるほど、そういうお願いだったのか。


実は、こんなふうにクラスメイトに掃除当番の代わりを頼まれるのは、初めてじゃない。


でも私の性格上、頼まれごとをすると、断れなくて。


正直なところあまり気は進まなかったけれど、笑顔で頷いた。


「あ……うん。いいよ」


すると、ぱぁっと目を輝かせる桜木さん。


「マジで!? 超助かるー! ありがと~! 涼川さんなら優しいから、絶対引き受けてくれると思ったんだよね~」


「ど、どういたしまして」


「それじゃ、彼氏が待ってるから、また明日ねーっ!」



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