【完】溺愛したいのは、キミだけ。
笑顔で手を振りながら去っていく桜木さんを見送りながら、ちょっぴり羨ましい気持ちになる。


彼氏との約束かぁ。いいなぁ……。


まぁ、桜木さんのような人なら、彼氏がいて当たり前だよね。


美人だし、スタイルもいいし、明るいし。


私みたいに地味で冴えないタイプには、恋愛なんて無縁なんだろうけど、やっぱりちょっと憧れちゃうな。


そんなことを考えながら、言われたとおり掃除の準備に取り掛かる。


いつのまにか人がいなくなった教室で、ポツンと一人残ってせっせと掃き掃除をすすめる私。


窓の外からは、部活をする生徒たちの元気な掛け声が聞こえてくる。


今ごろ江奈ちゃんも、部活頑張ってるのかなぁ。


ボーっと考え事をしながら手を動かしていたら、その時突然教室のドアがガラッと開く音がした。


……えっ?


驚いて振り向くと、そこにはなんと、サッカー部の練習着姿の翠くんがいて。


……ウソッ! どうして彼がここに?


私が驚いた顔で見ていたら、翠くんが声をかけてくる。


「あれ? 涼川じゃん」



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