【完】溺愛したいのは、キミだけ。
思わず片手を伸ばし、そっと彼女の頬に触れる。


「ヒナ、すげー顔赤い」


わざとらしく告げたら、ヒナはハッとしたように目を丸くして、それから恥ずかしそうに顔を両手で覆った。


「えぇっ! そ、そうかなっ」


なぁ。それって、今のカップルのせい? それとも……俺のせい?


「っていうか、俺もちょっと顔赤いかも」


「えっ?」


ヒナが手からそっと顔をのぞかせる。


その瞬間、俺は彼女の額に、自分の額をコツンとくっつけた。


「ほら」


「……っ」


あーもう、その顔ヤバいから。


潤んだような瞳も、困ったような表情も全部、可愛すぎるから。


「ヒナのせいだよ」


「えっ!?」


イタズラっぽく口にしたら、驚いたように目を見開くヒナ。


ますます赤くなった彼女のことを、心から愛しいと思った。


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