平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
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別館は、獣騎士団の本館とは高い壁で隔てられている。敷地として軍部と一括りにされているが、上から見てみるとぴったり隣接して区切られているのだ。

別館勤務から、本館――つまり獣騎士団入り。唐突な異動命令にはかなり驚かれたが、誰もがリズの採用利用を知っていたようで納得する空気もあった。

ああ、道理で、誰もが私にお使いを押し付けていたわけか……。

手続きと挨拶を済ましたコーマックに連れられて、別館を後にした。獣騎士副団長と一緒に歩いている姿は目立つのか、職員達からチラチラ向けられる視線を感じた。

横を盗み見てみれば、背筋が伸びたコーマックが歩いている。

優しげで端整な顔立ち、癖のないさらりとした髪。すらりとはしているけれど、鍛えられて締まっているのが分かる高い背丈をした身体。

それを改めて目に留めたリズは、ドキドキ――ではなく、別館から出たところで同情心から「うっ」と涙腺をゆるめてしまった。何せ平凡な自分は対象外なのだ。

「団長様と同じ二十八歳なのに、来てくれる恋人候補もないなんて」

「――リズさん。リズさんすみません、また口に出ています」

コーマックが、別館の窓から向けられている女性達の熱い視線の中、横顔をリズに向けたまま諦め笑顔でそう囁き返した。
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