平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
獣騎士団への異動が決定してしまったリズは、不幸すぎる、と涙目になった。立ち上がったコーマックが、手続きについて何やらジェドと話し合う様を見守る。

並ぶと、対象的な気性が目立つイケメンが二人。

もう色々と頭の中もいっぱいいっぱいになっていたから、今更のように見られたその『セットの光景』を前に、くすん、と泣きの心境で少しだけ考えた。

「そういえば、あの、お二人が恋人同士というのは……」

すると、二人の目がほぼ同時にこちらを向いた。

途端に副団長コーマックが、心労で頭痛がする表情で額を押さえた。リズが「もしや……」と思っていると、団長のジェドが「ふん」と鼻を鳴らす。

「そんなわけあるか。都合がいいから噂を放っておいて、全団員にも『知らぬふり』を指示しているだけだ」

「え。それはあまりにも副団長様が可哀そうなのでは」

その噂が直されない間、恋人も出来ないのではないだろうか?

リズが目を向けると、コーマックが「まさにその通りですね……」と諦めきった声で呟いてきた。グレイソン伯爵として縁談希望も多い団長とは違う。

「…………なんか、すごく可哀そうです」

「…………それを女性に正面から言われたのは、初めてです」

余計にダメージをくらってしまったのか、彼が俯いて顔を手で押さえた。

声に出てしまっていたと気付いて、リズは慌てて口を閉じて立ち上がった。心根優しい繊細な副団長に対して、ニヤニヤしている団長(ジェド)が鬼だと思った。

「さて、コーマックとっとと行け。俺は忙しい」

そうしてリズは、コーマックと共に部屋から追い払われてしまったのだった。
< 18 / 182 >

この作品をシェア

pagetop