平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
「あ、あのやっぱり私、さすがに無理で――」

ぷるぷる震えながらも勇気を振り絞って断ろうとした時、大きな獣に鼻先で首をつつかれて言葉が途切れた。

耳元で、巨大な肉食獣の吐息が聞こえている。

呼吸や存在感だけでも「大きい」と感じて圧倒された。背筋が冷えて怖々と見つめ返してみれば、目と鼻の先には大きな白獣の顔があった。

近くから見てみると、ますます狼っぽい。

そして、めちゃくちゃ睨まれている。

「がるる……」

その暴れ獣が、少し牙を覗かせて低く鳴いた。このオレが教育係りにと決めたのだから断ったらどうなるか分かってるよな――と、獣相手に脅されている気がする。

これ、本当に害はないの? 待ってやっぱり怖すぎるんですけどっ!

リズは思わずジェドへ目を向けた。

「あ? なんだ」

すると彼が、全く同じ感じの威圧的な目を返してきた。せっかく見つかった自分の相棒獣となれる白獣だ、断るとどうなるか分かってるよな――と怖い一睨みで伝えてくる。

なんだかこうして見てみると、能力値の相性バッチリの一人と一頭って、性格がほぼ同じで似たタイプということなんじゃ……という思いが脳裏を掠める。

片方からは獰猛な獣の牙、もう片方からは上司としての圧力。

もうこれは完全に逃げられないコースだ。コーマック達が、心底同情の目で見守る中、リズは涙目でやけ気味に叫んだ。
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