平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
彼らは普通、あの状況ならば狩りの本能としてトドメを差すため跳躍する。けれどそうしないのを見て、ジェドは部下達と揃って違和感に気付いた。

あの白獣、そもそも牙を剥き出してなくないか……?

思えば耳も尻尾も、殺気立った反応は見せていない。背中の毛だって逆立っていないし、獰猛な唸り声と歯をむき出しに威嚇音を上げてもいない。

そう気付いた直後、立派な身体を持った白獣が、まるで人間みたいに利口にも四肢で急ブレーキを踏むのを見て、ジェド達は呆気に取られた。

そうして奴は『お座り』した挙句、リズの顔をべろんっと舐めたのだ。

白獣は、自分の内側に入れる人間に対して顔を舐める仕草をする。それでいて相棒獣候補として、初めて前足を揃えてきちんと座るのはセカンドコンタクト――つまり教育係り決定の瞬間だった。

なんだか白獣は、これでよし、と言わんばかりに満足そうだった。

対する彼女は、こっちを見ても混乱に立たされた顔をしていた。感情がいっぱいいっぱいになって目が潤んでいる様子は、やはりジェドの目を引いて――。

つい、個人的にじっと見つめてしまっていた。

実を言うと、自分の言動や行動で彼女がそういう顔をするのを、どうやら気に入っているらしいとも気付いていた。

だから、この白獣が満足そうな理由の一つが、なんとなく察せてもしまった。

これが見たくて、奴はわざと猛進したのではないだろうか……?

相棒になれる互いの能力以外の、性格といった相性の部分のせいもあるのだろうか。なんだか自分を見ているようだな……とも感じたりした。

そんな野生の白獣が、騎士団の仲間入りをして数日。
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