君とみたあの夏の流星群。

「私ね……、ドナーが見つかったって言われた時、すごく嬉しかった。
でも…、それって私は誰かの命をもらう。って意味でもあって」


「うん」


星祈がこれから受ける心臓移植の手術は、脳死状態となった患者さん(ドナーの方)から、健康な臓器をもらうということ。


それは、つまり…、星祈の手術が始まると同時に、ドナーの方の死を意味することになる。



「だから、私…っ、手術が成功したら、精一杯生きて、幸せになるって決めたの。
だって、幸せにならなきゃ、ドナーの人が報われないでしょ?

それでね…、私が幸せになるには、碧都が傍にいてくれなきゃ、ダメなの」


俺の左手の上に重ねるようにして、星祈が左手をのせる。


重ねられた星祈の手は小刻みに震えていた。


俺は、震える星祈の手を包み込むようにして、握り返す。



「うん。それは俺も同じだよ」


俺だって、星祈がいない幸せなんて考えられない。


「じゃぁさ……、手術が成功して、私の病気が治ったら───


私と結婚してください」

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