マシュマロベイビー





もう



ダメかもしれない。



はー…。




萌は大きく息を吐いた。



ずっと、ため息ばかり出て。




会えないと



アラタくんに会いたくて。




なのに、会えても




全然上手にできなくて



でも、何とかしたくて、



えっと、アラタくんに会いに行って



まず、謝って…



違う。謝ったらまた、この前みたいになる…?



でも、謝るしか…。



何をしたら



どうしたら正解だったの?



誰か…教えて欲しい。



はー…。またため息が出た。



「萌ー。もうため息何回目ー?」




「そいうい紅葉こそ」




「はー。」2人のため息が重なる。





「もしかして、そのため息の原因




〝W〝がつくとこのひと?」



紅葉が机に頬杖つきながら聞いた。



「…もしかして




紅葉も?」



「…はー」



2人顔を見合わせて、また大きなため息が出た。




「どうしちゃったんだろうね…。




うちら。」



オトコの子のことで、こんな




悩むなんて。




「少し前まで、こんなこと




考えられなかったよね…」





「…いるかな?」



「ね…」



暮れだした街に



多いのは足早に家へと急ぐひとの群れ。




少しゆっくりな歩みの2人。



目的地につきたいのか、つきたくないのか



迷っているような足取りで。




考えても、考えても



正解は、わからないけれど




動き出したくて



変えたくて




ただ、会いたくて。



「…いたら、



いいね」



みんなが、



奏ちゃんとアラタくんたちが




よくいるお店に行ってみようかって



2人一緒なら、なんて

 

勇気だしてみた2人。



「うん。いなかったら、いなかったで



しょうがないもんね」




そんな風に片恋中毒な女の子たちは




暮れた街を歩いた。

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