幼女総長と不良たち


目頭にじわっと小さな水滴が溜まる。

今溢れそうな涙は、一体何の涙なのだろう?


こうやっていちいち理由を求める性格、いい加減直さないと。

対人恐怖症だっていつまで経っても治らないよ。



もう嘘つかないし、

他の誰かに血を呑ませるなんてこともないし、

ねえ、だからさ

助けてよ


里桜───────────


──────────

────────

─────





遠くからコンクリートを叩くような音がする。

近くで工事でもしているのだろうか。

でも、その音が次第に近付いて来てるのは、気のせい?


ハン君の唇が私の口全体を覆うと

途端に部屋中、バイブが震動するような音が鳴り響く。


ブブー、ブー、ブブー、

変なリズムの震動音。

・・・スマホだろうか?


ハン君が震動音には気にも止めない様子で私の口を貪り回す。


そういえば私、自分のスマホ、どうしたんだっけ・・・


舌を舌で捕えられ、一気に吸いつかれる。

ハン君が私の唾液だか涙だか分からない液体を途端に吸い込んでいった。


私は、啜《すす》り泣くことすらも許されないのか。



───そう思った瞬間だった────



バアアアアアアアンッッッッ


と何かが突き破られるような音と共に、閉じていた目を見開くと

目の前にいたハン君が一瞬にして消えた!!!!


止まりそうな心臓とは裏腹に、口からは一気に呼吸が吹き出る。

「何?!」と思う間もなく、

バットを両手で横から振った里桜が罵倒するように叫んだ!


「うちの子に何してんだッッッッ!!!!」


──────?!!!




お前の子じゃないッッ!!!!






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