幼女総長と不良たち
煙草を吸い終えた洸太郎が部屋に戻ると、またふてぶてしくソファを陣取るように腰掛けた。
「やっぱり外から入って来ると狂血の匂いを強く感じるね。その子供、海外だといい値段がつくだろうに。」
「ふざけろ。」
平気で人身売買を臭わせる発言を本人の前でしないで頂きたい。
幼女の闇オークションへの出品は、宗平ではなく洸太郎の頭の中にあったらしい。
凌久が私を膝の上から隣に座らせると、リビングから出て行った。
トイレだろうか。
その間に私は気になっていたことを洸太郎に聞いてみた。
洸太郎が"宗平を恨んでいる"ということだ。
でも直に聞くのはなんとなく気が引けたから遠回しに違う話題から振ってみた。
「・・・洸太郎は煙草好きなんでしゅか?
宗平は嫌いそうなのに・・・。」
まだ微かに煙草のけむたい香りを残す洸太郎が私を睨んだ。
「嫌いそう・・・??宗平なんて未成年の癖に隠れてよく吸ってたよ。最近は知らないけどね。」
「え?!」
宗平が・・・・?!
煙草を吸う瞳子さんの前で嫌そうにしていたあの宗平が??
「・・・・宗平から聞いてるかもだけど、うちは母親がDVでね、殴られて育ってきたから宗平にとっては煙草が逃げ道だったんじゃない?」
「・・・・」
そんなの、全然知らなかった。
いつも私に嫌味の一つでも言いながら、なんだかんだ朝迎えに来て大学まで送って行ってくれる宗平。
優しい自分を見せるのが苦手なんだと思ってたけど、苦手なんじゃなく分からないだけなのかもしれないと今初めて思った。
何だろう。
今まで何も事情を知らなかったことに胸が疼く。