諦めた心

だが、捜査が始まっても
怜に会うことも
怜の存在に怯えさせられる事もなく
日々は過ぎていき
私自身、怜の事を忘れて
仕事に没頭していた。

容疑も固まり
日本の企業のトップは逮捕された。

アメリカの企業のトップの
引き渡しをアメリカ側に
要請をした。

アメリカ側が要請を受諾して
取り調べを受ける為
日本へと移送される事となった。

旭からは、
「一華、お疲れ様。
この取り調べが終われば
落ち着くと思う。」
と、言われて
「良かったね。
旭、本当にお疲れ様でした。
吉原先生も凄すぎる。
私も頑張らないと。」
と、話してわかれた。

私は、自分が関わった事件が
解決する度に父に報告に
お墓に行っていた。

今回も目処がたったので
父のお墓へときていた。

父に報告をしながら
お墓の回りを綺麗にしていた。

その時、足音が聞こえて
近くのお墓に参拝の方かな
と、思い挨拶をしようと
立ち上がり振り向くと······

·······れいっ······

あの目を思いだし
固く目蓋を閉じる

「久しぶりだな。」
と、何でもないように
話す怜、いや、大賀さん。

ふるえる手を強く握りしめ
負けるな。と強く自分に言い聞かす

目を開き
「ご無沙汰しております。」
と、言い
大賀さんを見ると
彼は、またあの時の目を
私に向けていた······

冷や汗が吹き出し
足に力が入らなくなると同時に
目の前が暗く·····
「一華っ!!」
と、言う声が微かに耳に······
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