お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
聖司さんから手伝いを頼まれたのは、協会が主催している子ども向けの囲碁の啓発イベントだった。
囲碁を知らない子どもたちにも気軽にチャレンジしてもらい、囲碁の魅力を発信することを目的としている。
人気棋士である聖司さんも登壇するとあって、イベントは大盛況。子どもたちだけでなく、ママさんたちからも黄色い声が上がっている。
聖司さんの講演が終わった後、子どもたちが実際に碁盤を囲んでみる。その際会場にいて、子どもたちにやり方を教えて回るのが、私の仕事だった。
「ねえお姉さん、この石おかしいよ! ひっくり返しても白のままじゃん」
そりゃそうだ、オセロじゃないんだから。「なにそれ、わけわかんない!」と叫ぶ男の子に、根気強く説明する。
「オセロは駒をはさんでたくさん取った方が勝ちでしょう? 囲碁はね、陣取りゲームみたいなものなの」
「へえ、なるほど。そっかぁ」
初心者向けの九路盤を使って、説明しながら男の子と囲碁を打つ。少しずつだけどルールがつかめてきたらしい。
「すっげー! これ面白いかも」
「でしょ。よかったら、他の子とも対局してみてね」
「俺、行ってくる! 絶対負けないよ」
男の子は興奮気味にそう言うと、対戦相手を探しに行った。