お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
聖司さんは私と拓海を交互に見比べると、はーっとこれみよがしにため息を吐いた。
「なるほどね、湊人に話を聞いたときから、なにかおかしいとは思っていたが……」
と思ったら、なにがおかしいのかふっと小さく笑みをこぼす。……聖司さんが、笑ってる!
「君たちは、まずは自分の正直な気持ちをぶつけることが大事なようだな」
そう言うと、ゆっくりと席を立った。
「拓海くん、君はまだ夏美ちゃんに言ってないことがたくさんあるんじゃないのか」
聖司さんに言われ、拓海がぐっと言葉に詰まったような顔をする。どういう意味なんだろう?
「それじゃ、そろそろ俺は失礼するよ」
あとは二人でごゆっくり、と聖司さんが片手を上げる。
聖司さんのこと、利己的な冷たいだと思っていた時もあったけれど、やはりそれは間違いだった。彼は少し言葉が足りないだけで、いつも遠くから見守ってくれていたのに。
それに気づけなかったのは、試験に落ちて卑屈になっていた私が、おかしなフィルターを通して、聖司さんのことを見ていたせいだ。