お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
「聖司さん、色々と気にかけてくださってありがとうございました」
「君は大事な兄弟弟子だからな。いつでもなんでも言ってくれ。飛んでいく。別におかしな意味じゃなくて」
そこでいったん言葉を切って、聖司さんは拓海の方を向く。拓海が、気まずそうに俯いたのがわかった。
「夏美ちゃんを見守ることが、清家先生への最大の恩返しになると思うからだ。それだけだよ」
「聖司さん……」
聖司さんとの縁は、おじいちゃんが繋いでくれたものだ。今までなおざりにしてきた分、これからは大切にしたい。
「そろそろ行くよ。……次会えるのは、君たちの結婚式かな?」
「聖司さん、それは……」
聖司さんったら、突然なにを言い出すの。でも、拓海はなんと答えるのだろう。つい拓海の反応が気になってしまう。
「はい、必ずお呼びしますので、乾杯の挨拶はお願いします」
「拓海……?」
隣に立つ拓海が、ぎゅっと私の肩を抱いていた。このぬくもりを、できることなら手放したくないと思っている私がいる。
……ダメだな、私。あんなに考えて覚悟を決めたはずだったのに、全然吹っ切れてなんかいなかった。
そんな私たちを見て肩を竦めると、聖司さんはそのまま黙って去って行った。