お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~

 式場から家へ戻り、早速私と拓海は向かい合った。

なにか言いにくいことがあるのか、拓海はなかなか口を開こうとしない。だから、思い切って私から訊いてみることにした。


「拓海ったら、なんであんな勘違いしてたの」

 聖司さんが、私の忘れられない人だなんて。こうして再会するまで苦手意識こそあったけれど、聖司さんのことをそういう対象として見たことなんて一度もない。

「だって、夏美あの人と会ってから様子がおかしかっただろ?」

「えっ、そう?」

「そうだよ! 俺のこと妙に避けてたし、ぼーっと考え込んでいることも多かった。だから、園田さんと再会して動揺しているんだと思って……」

 私が拓海のことを避けていたのは、佐奈さんのことがあったからだ。拓海の手前、なにもないふうを装っていたつもりだったけれど、彼はちゃんと気がついていたんだ……。

「その頃は、色々考えることが多かったから……」

「色々ってなんだよ」

 佐奈さんのへの気持ちを確かめるなら、今しかない。私は、覚悟を決めた。

「……拓海は、佐奈さんのことが好きなんだよね?」

 私が言うと、拓海はピタッと動きを止めた。理解できないといった感じで眉をしかめたかと思うと、だんだんと驚きの表情に変わっていく。

「はあっ? 俺が、佐奈を? なんでそうなるんだよ!?」

「え、だって……」


< 186 / 223 >

この作品をシェア

pagetop