お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
「佐奈、俺にお土産は?」
そう言えば佐奈さん、私にしかお土産のこと言わなかった。
佐奈さんはジトっとした目で拓海を睨むと、ぷいと顔を背けた。
「拓海なんて知らないわ。夏美さん、手のかかる弟だけどよろしくお願いしますね。どうしようもない時は、見捨ててくださって結構ですから」
どういうわけか、佐奈さんは拓海に対しての当たりが強い。
「拓海、佐奈さんになにかしたの?」と小声で訊いてみても、肝心の拓海は肩を竦めるばかり。
でも、そうか。佐奈さんは湊人さんと結婚したんだから、拓海は正式に彼女の弟になったのだ。
「手がかかりますか? 拓海が?」
拓海ほど完璧な人もいないと思うのだけれど……。私が首を傾げていると、佐奈さんがうふふと声に出して笑った。
「家に帰ってから、拓海にゆっくり教えてもらうといいわ。もちろん、こはるも一緒にね」
拓海はというと、ようやくなにか思い当たることがあったのか、苦虫を噛み潰したような、なんとも言えない顔をしていた。