好きなんだから仕方ない。
「話には聞いてましたが、本当にエイミアの事が好きなんですね」

「・・・そんなんじゃないんです。彼女は・・・、エイミア様は私にとって今を作ってくださる時のような存在。エイミア様がいなければ私の時間は止まってしまう。死も同然なのです」

「・・・そうでしたか。ならばあなたの大切な時の過去の話を一つ、聞いてくれますか?」

生きる希望と言っても良かった。城にいてくださった頃は本当に生ける希望だと思っていた。ずっとそばにいたから。でも、離れてみて分かったんだ。
エイミア様が国を出られてから俺の時間は止まったまま、誰とどんな話をしたのかさえ覚えていない。どんな出会いを果たし、どんな別れがあったのかも忘れてしまった。
離れてから初めて知ったんだ。俺はエイミア様がいないと心と共に生きられない。空気や時間のような、あって当たり前なのに無いと生きられない。そんな存在だったのだと。俺の心にはエイミア様の存在が必要不可欠なのだと。
< 104 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop