好きなんだから仕方ない。
力の強い者が魔界を破壊しようとしている事は明らかだった。決意の目をしたカナケトにエイミア様を託し、俺はクロエラを連れて現況の許へ走った。
今の俺は執事として生きてきたクロエラより弱いかもしれない。弱いだけならまだ良い。足を引っ張る事しか出来ないかもしれない。でも、それでも動かずにはいられないから。

「あの子はどこだ」

「誰の事だよ?」

「パルドメール、先に行け。時間が勿体無い」

「助かる」

エイミア様の死を悟って乗り込みに来たか。本来なら、本当なら彼らに渡して生き延びてもらうのが最善の方法なのだろう。それが一番良いのだろう。でも、何でだろうな。
俺たちが魔界で生まれ、育ったから。魔界の良い所を知っていて神の住み処の事を知らないからなのかもな。
< 149 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop