好きなんだから仕方ない。
「他に方法は?」

「瀕死状態の神にでも頼むのだな。無力な自分の代わりに助けてくれと」

「貴様・・・っ!」

魔界の王の言葉に腹が立ち、リナゲツが斬りかかろうとした時。弱々しい小さな光がよろよろと宙を動いているのを目にした。それは頼りない、青白い光だったけれど確実に魔界の王へ近付いていっていた。
誰が出した魔力の塊なのかと見渡したがここにいる者は皆、首を傾げた。まさか、エイミアが?
魔界の王はそれが答えかと笑うと光に手を伸ばして握り潰した。小さな破裂音と共に少量の煙が上っていく。
本当に彼女を助ける方法は無いのか?奥歯をぎりぎりと噛んだその時だった。魔界の王が握り締めた手を開いた瞬間、大きく眩しい光に包まれて大きな爆発音が鳴った。
一部的に崩れた部屋と姿形が分からなくなった魔界の王、どんどん崩れていく建物。僕たちは割れた窓から緊急脱出をし、神の住み処へ帰ろうとした。
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