好きなんだから仕方ない。
そうか、俺にも嫌われるちゃんとした理由があったのか。普通だと思ってきたが違ったのか。
なぜだろう。現実を叩き付けられたはずなのに全然悲しくも辛くもない。これでもかって言うくらいすっきりしているのは彼女に言われたからなのか?

「じゃあ新しく迎えに行くのもその一種なのか?」

「ううん。その子はまた別。もっと酷いかもしれない」

「なるほどな。仲良くなれる事を期待しよう」

ステアダは自分の背中に乗れと身振りで指示すると、加速させた。彼女の表情を見てすぐにでも手を差し伸べたいと思っているんだと感じたのだろう。
浮かない表情の彼女に何も出来ないけれどせめて笑ってほしい。少しでもくすりとでも笑ってくれたらそれで良い。だからと言うのもどうかと思うが、小さな彼女の体を抱き締めて引き寄せた。
どんな効果があるのかは知らない。でも、何もしないより気持ち的に楽だった。自分勝手かもしれないが、そうしないと無力感に押し潰されそうだったんだ。
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