好きなんだから仕方ない。
出発後、飛びながらステアダは彼女に自分の事について訊いていた。何も知らないで自分を使いに選んだのか、それなら後悔するぞと。でも、彼女は彼女なりにちゃんとステアダの事を知っていた。

「使いになってからで悪いが、どうして俺を選んだ。血国に迎え入れられた経緯は知っているんだろう?」

「知ってるよー。天国の力が自然に作り出した魂というだけで嫌われて、襲われて。だから死なないようにって戦い方も分からずもがいていたら暴れるという仕草で隙をついて捕まって最下層へ。だから選んだのかもね。ガドウの理解者になれるんじゃないかってさ」

「貴様もその一種だったか」

「本人は気付いてなかったけどねー」

確かに俺は産まれてからずっと嫌われている理由を知らなかった。どうして俺が嫌われなきゃいけないんだ、何も変わらない普通の魂じゃないかってそう思っていた。
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