好きなんだから仕方ない。
カナケトが門を開けてくれていた事。まだヅヌダクだったガドウが進めるよう、魔界の使いを手にかけてくれた事。全部、知っていたの。クロエラが愛していると言ってくれた事も知っていたの。

「しかし!」

「ねぇ、クロエラ。気付いてる?今、初めて歯向かってくれてるんだよ?今、初めて私と話す時に“俺”って言ってくれたんだよ?」

「あっ・・・、それは・・・!・・・申し訳ございませんでした」

「ううん。あの時、ちゃんと聞こえてたよ。愛してるって言ってくれた事。だから、今度は私の番。この魔界という一つの世界を一つの星にしようと思うの。そうして、ここにいる人々は一つの実態のある魂として生きてほしいの。魔界は消えないからまたこういう世界が作られる心配もない。一つの星にしてしまえば神から干渉する事は出来ても逆は出来ない。だから魔界の人々が神の住み処に襲ってくる事もない。でも、天界に魂が居続ける限り二人の負担も不安も消えない。だから、天界にいる他の魂も他の星で暮らしてもらおうと思うの。そうやって神の住み処だけを残して全ての世界を新たな形に変えたいの」
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