好きなんだから仕方ない。
捨てるのにも金がいると女中の一人が言っていたのを思い出しただけだけど、それが私にも国王の座への道を開かせた。捨てるのに掛かる費用を減らせるならと譲ってくれる者、それでも自分の商品へのプライドが許さないと譲らない者。色んな人がいた。
ただ一つ、誰であっても変わらなかったのは助けてくれる優しい心だった。そんなに金が無いのならと泊まらせてくれる家族。代わりに働いてくれるならと野菜をくれるための交換条件を出す家族。方法は様々だったけれど、何とか渡そうと考えを巡らせてくれた。
私は泣きそうになった。町の人たちはこんな、見知らぬ旅人にも何か救いの手を差し出そうと考え、努力してくれるのに一番しなければいけないであろう王族が裕福な方ではない彼らを嫌っているなんて。近寄る事すらしようとしないなんて。

「こんな事で本当に宜しいのですか?」

「こんな事じゃないよ!私たち母親の立場からしたらね、大助かりなのさ!」

「そうそう。このたった一日が救われるのよ」
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