好きなんだから仕方ない。
弱っているのを察する事は出来るんだ。彼女が城に来てからずっと世話をして来た。だから今どんな感情でどんな事をしたいのか、してほしいのかは分かる。でも違うんだ。
もっと自分から、自分の口で言ってほしいんだ。辛いなら辛いと、泣きたいなら胸を貸してほしいと言ってほしいんだ。もっと感情を言葉で誰にでも分かるように表現してほしいんだ。
命令すれば皆言う事を聞くのだからもう少し職権を使って良いはずなのに。なぜ。余所者であると自分でも分かっているからなのか。王族として産まれ、ここで育っていたらもっと頼ってくれたのか。

「私ね、知ってたの。この城に血の繋がった生き物が誰もいない事。でも、この世界に視野を広げても一人もいないのか確証が無かった・・・。持ってきてくれて本当にありがとう」

「あの・・・、一体そちらは・・・」

「私の本当の両親が残した形見と遺書です。ある事は知ってたけど、国王が隠し持っていたとはねぇ・・・」
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