好きなんだから仕方ない。
クロエラから抜いた剣を取り、長男の首に剣を突き付けている者たちに向けた。戦った事など無いのにどうやって戦うつもりだったんだろう。自分では何も分からなかった。でも、今は形だけでも主導権を手に取って皆を安心させなきゃ。道さえ切り開けたら、隙さえ見付かればクロエラがきっと突破口を見付けてくれるはずだから。

「その者から離れて皆を解放して」

「・・・分かった。皆もそれで良いな?」

衣装箪笥の中にいた時、指示をしていた男と同じ声。彼がこの計画を立てた本人?それともただのまとめ役?
長男が解放され、召し使いと兵士も解放されたけれど大広間から出ていく者は一人もいなかった。出ていってくれればどんなに安心できたかとも思ったけれど、国王と妃を生き返らせる事が先か。
取り合えず二人を生き返らせ、長男と次男に預けた。そして剣を目の前に置き、無防備な状態で床の上に直接座った。こうすれば素直な声を聞かせてくれるような気がしたから。
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