好きなんだから仕方ない。
「話して。どうしてこんな事をしたの」

「エイミアちゃんの一番最後に亡くなった父親の遺言だったんだ。今までの記憶を全て思い出す前に見付けてやってほしいって。でも、どこにいるかなんて分からないしそれで騒ぎを起こせば自分から来てくれるんじゃないかって」

「たったそれだけの理由で三人を殺したの?」

彼らは私の姿勢に答えるかのように目の前に座り、こうなった経緯を話してくれた。そして、全員が額を床に付けて申し訳ないと謝罪した。
妃は文句を言っているけれど、問題はそこじゃない。今回の襲撃を引き起こす原因となったのが私だったという事だ。何事もなく生きていれば良いと思ってきた私のせいで無関係な人まで巻き込むくらいの大事になってしまった。
握った拳に力が入り、震えてしまう。私が呑気に考えていたばかりに色んな人を危険な目に合わせて自分は守られていたなんて。
仕えてくれている者を守れずに何が一国の王なの。どこに資格があると言うの。守られてばかりで良いわけないのに。
< 49 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop