好きなんだから仕方ない。
彼らにも、仕えてくれている者たちにも申し訳なくて頭を下げようとした時だった。長男の上着が頭の上に降ってきたのは。驚いて顔を上げて振り返ると、長男と次男が仕えてくれている者たちに頭を下げてくれていた。

「すまない。これは俺たちが招いた事なんだ」

「本当に申し訳なかった。エイミア、お前も帰りたいなら送り届けるから言ってくれ」

二人は悲しげに笑いながら私の心を知りたがった。生まれ故郷に帰りたいかと。仕えてくれている者たちは皆、二人に頭を下げ返している。
どうしたいかと言われればまだこの城に王族として居続けたい。責めて次の国王候補が決まるまでは試練の行方を見届けたい。でも、そうすれば彼らの意思を無駄にする事になるんじゃ。
父の言葉を信じ、私のために動いてくれた彼らの行動も無駄にしたくない。無駄にしないためには一緒に帰った方が良いんだろうけど、まだクロエラと離れたくない。これが最後なんて思いたくない。でも、今離れたら最後になる気がして怖い。
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