好きなんだから仕方ない。
結婚でも申し込む化のような悩みだと人は言うだろう。でも、生きて一緒にいたいと思う者同士なんだぞ。少しの希望も見えないで軽はずみに付いていくなど言えるわけないだろう。

「お前らの故郷の事、聞かせてくれないか?」

「俺たちの?何のために」

「異文化交流って奴さ。次の王が就任してからなんだからまだ時間はあるだろう?少なくとも、今日明日は焦らずにのんびり考えて良いはずだ。城に仕えている者総出で城内を掃除するって言ってたし」

城内を清掃するってどこで聞いてきたんだ。俺ですらまだ聞いていない情報だぞ。そう思っていると扉が叩かれ、入ってきた女中から同じ内容を耳打ちされた。
どうして彼がこの情報を持っていた。いや、確かに城内を清掃するという事実を知っていただけで警戒するような内容ではないのかもしれない。でも、もしこれが他の重要な情報だったとしたら使いようによっては脅迫だって出来るしまた襲撃に来させる事だって拭いきれない。何者なんだ。
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