好きなんだから仕方ない。
私の母とパルドメールの母には魔女の血が流れていた。私もパルドメールも母親が魔女だっただけ。でも、魔女の中でも強い位置にいたと言われていたと聞いている。だから魔力も受け継げたのだと。
実際、一部では魔女の血を受け継いだ男女がいる。という話が広まっているらしいし、城から出るまで事実を知らなかったとは言えど気を付けた方が私に関わった人々の身の安全も保証できるんじゃ。

「エイミア。僕の妹」

「えっ?」

「ずっと見ていたよ。これは返すね。君のお父さんの物だから」

上着は一瞬絞られたように小さくなると急に大きくなって一人の男性の姿に変わった。その姿は母にどこか似ているようで似ていない、昔のパルドメールそのものだった。
変わった所と言えば、大人の雰囲気と高くなった身長くらい。パルドメールはだんだん笑顔になっていく私に形見となった上着を身に付けさせてくれた。
< 90 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop