ヘタレな俺はウブなアラサー美女を落としたい
「う、えぇっ……」
みっともなくぐしゃぐしゃになった顔で、ただ呻いていた。何も出ない。確かに気持ち悪くて、吐きそうという感覚はあるのに。いつまでも胃のひっくり返るような不快感だけが続く。出てくるのは涙と鼻水だけ。それが俺をよりみじめにさせた。
吐きそうで吐けない中途半端な感覚から解放されたくて苦しんでいると――その人は言った。
「ちょっと指入れるね」
「えっ……」
有無を言わさぬスピードで、流れるような所作で、ほっそりとした繊細な指が俺の口の中に入ってくる。
「んッ……あっ……」
――指の腹が舌に触れ、その感触にゾクゾクしたのも束の間。
人差し指と中指が俺の喉を広げるように、舌の思いきり奥のほうを〝グッ!〟と強く押した。
「おごっ!?」
「痛いから噛まないで。もうちょっと奥いくよ~」
予告どおり、指はそのまま更に奥へ。
そこから数秒。
「お゙えぇぇぇッ!」
綺麗に。サラサラと。
俺はその場にリバースした。