今夜、あなたに復讐します
社長室の扉をノックすると、
「入れ」
と言われる。
「失礼します。
お茶をお持ちしました」
と夏菜は頭を下げた。
うん、とパソコンの画面を見ながら言う有生のデスクにお茶を置くと、有生はそれを手に取り、画面を見たまま飲んだ。
そのままデスクに置こうとして、こちらを見る。
「お前が淹れたのか?」
「えっ、やっぱり駄目でした?」
と夏菜が訊くと、
「いや、いつもの味とほぼ変わりなかったが、お前がじっとこっちを見てるから」
と言って、ちょっとだけ笑う。
笑いましたよっ、今、社長がっ。
笑いかけられましたよ、私っとちょっと動揺しながら、
「指月さんに教えてもらって私が淹れたんです」
と言うと、有生はもう一口飲んで、また、うん、と頷き、
「悪くない。
これからはお茶はお前が淹れろ。
指月の仕事がひとつ減る」
と言ってきた。
ありがとうございますっ、と免許皆伝な感じがして、夏菜は頭を下げた。