蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
「こんなところでなにをしてる?」
久しぶりに聞く蓮人兄さまの声はこんなに低かっただろうか?背筋が凍るかと思うほど、冷たい声に私の頭は真っ白になる。
「あの」
言葉の続かない私に、蓮人兄さまは少し表情を歪めると私を見下ろした。
「忙しい。俺になにか話があったんじゃないのか?」
そうだ、忙しいに決まっている。いまでもあの人を待たせているのだから。
そう思うも頭の中はパニック状態だ。
「私と結婚してください」
どうしてその言葉だけを言ったのかわからない。
真翔君の邪魔をしたくないのはもちろん事実だ。だからといって蓮人兄さまと結婚する必要もなければ、蓮人兄さまはそれが嫌で私を遠ざけたのに……。